『北京と内モンゴル、そして日本』の装丁

装丁を担当させていただいた本『北京と内モンゴル、そして日本』が仕上がりました。中国 文化大革命を逞しく生きてきた金佩華さんの自伝的な小説です。
少女時代の夢はピアニストになること。しかし回族イスラム教徒)であり、裕福でもなかった彼女には叶わない夢でした。
次に願ったのは大学に入って勉強すること。しかし時代は文化大革命に。彼女は自ら志願して内モンゴルの過酷な労働に参加します。
(詳しくは、こちら)http://www.cbshop.net/search/to.cgi?up_qa1=292997

カバーの絵は、モンゴルの砂漠に根をおろしたホソグミ(ロシアンオリーブ)の木。そして表紙には同じくホソグミの実。
厳しい自然環境でも負けずに育っているホソグミの木に、金さんは自分自身を重ねていたようです。「ホソグミのように強く生きよう」と。
カバーと表紙の色は、どちらも水色にしました。子供の頃お母さんが一年分の布票(服の生地は配給だったそうです)を使って水色の布地を手に入れ、ブラウスとスカートを作ってくれたのが「天にも昇ほど嬉しかった」…というエピソードがあったので、この本も水色の本に仕上げたいと…これは私の勝手な想いだったのですが。
でも、後に金さんから「とても好きな色です」と嬉しいメールを頂きました。装丁というお仕事をさせて頂いて、著者さんのこういう言葉が何より一番嬉しいです。