『中国と日本 二つの祖国を生きて』

装丁と組版を担当した『中国と日本 二つの祖国を生きて』が仕上がりました。
この本は1953年、中国人軍医の父と日本人教師の母の間に生まれた小泉秋江さん(著者)が、
「大躍進」運動や「文化大革命」の下に体験した壮絶な半生を綴った記録です。
今まで文革関連の本を装丁したのはいくつかありますが、2014年に発刊された
『北京と内モンゴル、そして日本−文化大革命を生き抜いた回族少女の青春記』(金佩華 著)も、
小泉秋江さんと同じく少女期の文革体験を記した本でした。
どちらの装丁もそうでしたが、赤色を使うのは嫌われました。
中国共産党の赤色を思い出し辛い体験が蘇るのだそうです。
そういうことから『北京と内モンゴル、そして日本』では青を(文中に青が好きとあったので)、
今回の『中国と日本 二つの祖国を生きて』では黄色(中国の伝統色:黄琉璃)を使用しました。
本の内容は辛い実体験が書かれているのですが、あえて装丁を重く暗い感じにはしたくありませんでした。
仕上がった本を著者さんが手に取った時、喜んでいただけるように…という思いを込めてデザインしました。
http://designpool.jp/bookdesign/

著者=小泉 秋江
集広舎/2018年/四六判・並製/268頁
本の詳細は集広舎のwebsiteまで
http://www.shukousha.com/information/publishing/6720/